11.12.2012

バレリーナのミカエラ

一月ほど前、ひとりのアフリカ出身の若いバレリーナの記事をBBCニュースに見つけ、とても印象に残ったので、ツイートしました。


この子、Michala DePrinceというアメリカ人ですが、4歳の時に両親が西アフリカの内戦で殺され孤児になったところを、アメリカ人の白人夫婦に姉妹で養子として引き取られた。それまで、バレエなんてやったことなかったけれど、写真を見てあまりの美しさに目を奪われ、自分もいつか、こんな綺麗な姿で踊りたいと思っていた、という。

アメリカ人の両親は、バレリーナの写真に見とれている5歳のミカエラさんを地元フィラデルフィアのバレエスクールに通わせてあげたところ、めきめき上達し、14歳で世界中のバレリーナの卵が集うNYCのコンペティションに参加。みごと入選して、ニューヨークにあるアメリカン・バレエ・シアターのジャクリーン・ケネディ・オナシス・スクールから奨学金を手にした。

2012年、17歳でバレエ・スクールを卒業してハーレムのダンスシアターに入団。そして同年7月に、南アフリカでの公演でデビュー、プロのバレリーナとして初舞台を踏んだ・・・。



誰も欲しがらなかったアフリカの孤児が、10数年後に世界の舞台で認められて、バレリーナとして、アフリカの地でデビューする。ステキなエピソードだと思いました。

このツイートをしたときに、『First Position』というTV映画があることを教えてもらい、一昨夜、ようやくその映画を見ました。



この映画はミカエラさんが出場したコンペティションに参加した6人の若きバレエ・ダンサーの卵たちを追いかけたドキュメンタリーで、登場人物として、14歳のミカエラさん本人も登場します。このThe Youth America Grand Prixというコンペティションは世界最大、5000人以上の卵が世界中から挑戦し、NYCでの決勝まで残れるのは僅か数百人。決勝には、若い才能を見つけようと世界中のバレエ団のスカウトも集まってきて、選ばれた者たちに総額25万ドルという奨学金を出してバレエ団に勧誘する、という、大掛かりな催しだそう。

(ここから、ネタバレ) ミカエラさんはコンペティション最終審査の3日前に足首に激痛が走る怪我をして、出場をあきらめるか否かの瀬戸際に立たされる。もし無理をして踊ってさらに負担をかけたら、一生踊れなくなってしまうかもしれない。。。そんな不安を抱えつつも、ミカエラさんは舞台に出ることを決意。

「踊り出したら、痛みも何もかも、すべて忘れてしまった」踊り終えたミカエラさんの言葉。映画の中で、「自分に起きたことは奇跡のよう、いつか故郷のアフリカでバレエを踊ってみせてあげたい」と夢を語る14歳のミカエラさん。

その3年後、南アフリカでのデビュー・・・夢が実現したのですね。

このドキュメンタリーにはMikoさんという日米ハーフの女の子(12歳)もコンペティターとして登場します。(日本人のお母さんも、アメリカ人のお父さんも、娘のために大奮闘。ミコさんのバレエにかける情熱にも感動したけれど、それを支えるお母さんの姿にもちょっと涙。)

登場するバレリーナの卵たち、どの子もまだまだ若いのに、大人でも根をあげる激しい訓練に日々を費やし、夢を求めて熾烈な競争に飛び込んでゆく。その姿には、見ているこちらもハラハラさせられどうしで、下手なサスペンスドラマよりずっと見応えがあった。

このドキュメンタリー、おススメです。

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